特別養子縁組の制度や問題について分かりやすく里親ブロガーが解説する

tokubetuyousi_header




みなさん、「特別養子縁組」という制度をご存知でしょうか?

最近、多くのサイトや情報番組で「特別養子縁組」「里親」が取り上げられている機会も増えたので、言葉だけは目にしたことがある人も多いかもしれません。

これまで「特別養子縁組」というのはあまり世間に広まっていない印象で、一般の人は

 

言葉は聞いたことあるけど、どういった制度なのかよく分からない

という印象があるかもしれません。

 

僕は現在、里親として子どもを育てているので、「特別養子縁組」という制度について日々考えています

ただ、「実際どんな制度なのか?」「実際に特別養子縁組を考えるにあたってどんなことが必要なのか?」っていうのは、まだあんまり世間に普及していないと思うんですよね。

そこで今回の記事は

  • 特別養子縁組ってどんな制度なの?
  • どんな取り組みがされているの?

 

っていうのを、これから特別養子縁組を知りたい人向けに書いてみました。

現在不妊治療で悩んでいる方や、特別養子縁組に少しでも関心がある人へ、参考になってくれたら嬉しいです。

 

特別養子縁組とは

特別養子縁組の制度的概要

まず、特別養子縁組とはどういった制度なのか簡単にご紹介します。

特別養子縁組制度とは、「生みの親」(実親)との法的な関係を解消し、「育ての親」(養親)と法的な親子関係を新たに結ぶ制度のこと。

 

「養子縁組」と1口にいっても、実は大きく分けて2つに分かれています。

  1. 普通養子縁組
  2. 特別養子縁組

 

前者は生みの親と親子関係が残りますが、後者は育ての親が法律上も親子として認められる制度です。

普通養子縁組は戸籍上は「養子」と記載されますが、特別養子縁組は「長男」「長女」というように戸籍上も実の親子として記載されるのです。

 

特別養子縁組が成立する条件

特別養子縁組を成立させる条件は以下の通りです。

 

養親は夫婦でなければならない

夫のみ、妻のみで特別養子縁組を申し立てることはできません。

必ず、夫婦揃ってということが条件とされています。

また、この夫婦というのも実際に籍を入れている必要があるとされています。

「事実婚」であったり、「同性婚」の場合はまだ日本の法律上は認められていません・・・・

もっと、日本も多様な家族の在り方を認めるように変わっていくべきだと個人的には思っています

 

養親は25歳以上でなければならない

養親の年齢はは25歳以上が原則です。

ただし、夫婦2人とも25歳以上にならなくても良く、どちらか片方が25歳以上であればOK

 

養子の年齢

特別養子縁組は養子の年齢が原則6歳以下であることが定められています。

※6歳未満から養育していれば、8歳まで申し立てることができます。

 

半年間の養育期間

子どもを委託されてからすぐに特別養子縁組を行なうことは出来ません。

その子どもを半年以上養育してしっかりとした関係が出来てから申し立てをすることが出来ます。

 

実親の同意

特別養子縁組が成立するにあたって最大の条件となるのがこの「実親の同意」でしょう。

実親(実父、実母)の両人からの同意が必要になります。

 

日本では海外に比べて「親権」というものに非常に強いことで有名です。

そもそも里親に委託するのも「実親の同意」が必要になります。

だから、実親の同意が得られない子どもは、施設に預けられます。

言い方は悪いですが、月に1回も面会に来ない親でも優先されるのが「親権」です。

 

なので実親の同意を得て特別養子縁組を成立させるのは並大抵のことではありません。

 

ただ実親の立場に立てば、すごい決断だと思います。

自分が生んだ子どもと「法的な親子関係を無くす」ということに同意する訳ですから。

実際、実親さんの同意が得られず裁判が長引いたり、特別養子縁組の成立が出来ないケースだってあります。

 

特別養子縁組を成立させるにはこれらの条件のもと、家庭裁判所の判断をもって正式に成立します。

すぐに成立するものではないと思いますし、様々な手続きが必要になると思います。

 

もっと特別養子縁組の制度や手続きなどを具体的に知りたい場合はこの本をオススメします。

僕が見た中では一番詳しく記載されていますよ

 

特別養子縁組の成立件数について

特別養子縁組が毎年どのくらい成立しているかご存知でしょうか?

下の資料を見てください。

seiritukensuu

参照:特別養子縁組に関する調査結果について

この数字を見て多いと思いますか?少ないと思いますか?

日本ではまだまだ浸透していない特別養子縁組という制度。この数字が多いのか少ないのか

実際よく分からないですよね。

周りに「養子」「養親」であることを公言している人もあまりいないのではないでしょうか?

 

海外諸国と比べた養子縁組

それでは海外と比較するとどうでしょうか?

日本の養子縁組制度は進んでいると思いますか?

 

実は、養子縁組の数字だけで比較すると、海外に比べて日本の特別養子縁組の数は比較にならないほど低いのです。

kaigaihikaku

・・・「ここまで差があるか、日本」という感じですね。

ヨーロッパの先進国には5倍、養子大国と言われるアメリカとはもはや次元がちがいます。

 

また、養子縁組の考え方も根本から違っています。

日本では、実親と養親が対面するということは基本的にはありません。

ましてや、社会的養護が必要な子どもの情報がネット上に出ていることなんて絶対に無いですよね。

 

一方アメリカは「オープンアダプション(開かれた養子縁組)」という考え方が主流です。

例えば「Adopt US Kids」という団体では、家庭が必要な子ども達の顔写真やプロフィールが載っているとか・・・

この子どもと家族になりたい」という考えを大事にしようという取り組みだそうです。

そしてAdopt US kidsは、政府と民間が共同で運営しているとのこと。

 

子どもの写真を乗せるというところは意見が分かれるところだと思いますが、現在の日本では、絶対にこんな取り組みは出来ないことは想像出来ますよね。

法制度もそうですが、国民の養子縁組に関する考え方や価値観が一番の大きな課題だと思います。

『児童福祉としての養子制度を考える 「成年養子大国・日本」と 「子ども養子大国・アメリカ」の変遷を追う』

これを見てみると、今の日本の養子縁組の制度や価値観がアメリカに比べ50年ほど遅れてることがよく分かります。

 

最近の日本の特別養子縁組に関する取り組みと実態は?

近年、ようやく日本でも厚生労働省が以下の目標を掲げるようになりました

  1. 里親への委託率を2017年の18%から、7年間のうちに75%へ上昇させること
  2. 特別養子縁組の成立数を、5年以内に1000件以上にすること

 

あなたはこの目標数字を見てどう思いますか?

サラリーマン感覚でいってしまうと「何、この無謀な数字。現実見てよ」という感想ですが笑

timco
今期の営業ノルマ、去年の3倍だぞ!

って言われているようなもんですからね。

 

ただ、すでにこの取り組みについては専門家から疑問視する声も見られます。

東京との認定NPO法人フローレンスの代表理事:駒崎弘樹さんは、「このままだと日本の養子縁組は死ぬ」という記事の中で、厚生労働省の取り組み方に疑問と怒りを投げかけています。

国が許可した適切な民間団体に対する補助が、目標を達成するためには明らかに少ないということ。

適切に運営していくには1団体3000万の補助が必要だが、国が出してきた予算は全国の20団体の総額で年間2800万円とのこと。(1団体140万という計算になりますね)

この補助金額にして、「75%の里親委託率、1000人以上の特別養子縁組」はさすがに無謀かと・・・・

 

私は民間の養子縁組団体とは直接関わっていないのですが、これまでの経験上、特別養子縁組の普及は行政と民間の連携が必要不可欠なんだと感じています。

それは先ほど上げたアメリカの「Adopt US kids」もそうですし、日本国内でも里親委託率が高い市区町村は全て民間団体との連携によるものです。

この政策の影響を受ける立場としては、今後の取り組みについても色々調査していきたいと考えています。

 

有名人の公表:宝塚OGの瀬名じゅんさんが特別養子縁組をしたこと

これまで養子縁組をすることって日本では近年公表される有名人の方ってあまりいなかったと思います。

やはり、養子縁組と言えば海外のセレブが行なっているイメージがありませんか?

(離婚されましたが)ブラッド・ピッドとアンジェリーナ・ジョリー元夫妻や、マドンナなど。

burapianji

 

日本では不妊治療を公表している有名人の方はいますが、その後養子縁組を迎えた事を公表したりする人はほとんどいませんでした(もちろん、有名人だからといって公表する必要はないんですが)

しかし、2018年2月に特別養子縁組を行なったことを公表したのが宝塚OGの「瀬名じゅん」さんです。

senajun

参考:瀬名じゅん Official Web site

瀬名じゅんさんは夫で俳優の千田真司さんと2年間不妊治療をされていたようですが、子どもを授かることはできなかったとのこと。

その後、夫から「血の繋がりにこだわる必要は無い」という提案から特別養子縁組を考えていったとのこと。

そして既に特別養子縁組をしている親子や団体から話を聞き、実際に養子縁組をしたそうです

 

瀬名じゅんさんが公表した理由について、以下のように語っています。

私は一応舞台に立つ仕事をしているので、あの時妊娠してなかったのにどうして?と絶対になる。その時傷つくのは子供。いろいろ考えた末公表することにした

身も心も金銭的にもいっぱいいっぱいになってしまう前に、この制度を知って、新しい家族の形もあると知ってもらうことも、選択肢の一つとしてある

普通のこととしてとらえてもらえる世の中になってほしい

参照:瀬奈じゅん、特別養子縁組の公表理由は… 「地獄のような」不妊治療も告白

テレビや舞台に立つ瀬名じゅんさんのような有名人の方が今回公表して頂いたことは、特別養子縁組の制度普及に大きな意味を持つと思います。

私も不妊治療経験者ですが、あの出口の無いところをずっとさまよっている感覚や、誰の励ましも聞くことが出来ず、他人の幸せを心から祝えない感情はまさに地獄です。

もちろん、あの経験があるから今があるのですがあの時の感情はは今思い出してもツラくなります。

瀬名さんがおっしゃっているように、現在不妊治療を行なっている方は、迷路に囚われず、特別養子縁組という新しい選択肢と未来について考えてほしいと思います。

 

まとめ:特別養子縁組がもっと日本で普及するように

特別養子縁組の制度や、日本と海外の養子縁組の違いについてまとめてみました。

この記事で特別養子縁組について少しでも知って頂けたら幸いです。

特に、不妊治療で迷っている方がこの記事を読んで頂いたことで、特別養子縁組を将来の自分の未来の選択肢として考えてくれたら、こんなに嬉しいことはありません。

特別養子縁組は、子どもと大人両方が幸せになることができる制度だと信じています。

そんな制度が少しでも早く日本でも普及し、養子という家族の形が普通になることを望みます。




コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です