皆さんは「真実告知」という言葉をご存知でしょうか?
我々のような里親や養子縁組する家庭にとって、この「真実告知」という言葉はとても重要な言葉です。
真実告知とは、子どもに「あなたとは血の繋がりがない」という真実を伝える事でもあるからです。
あなたは自分の両親や兄弟が血の繋がっていることを疑った事がありますか?
もし親から「実は、私達とあなたとは血の繋がりはない」と伝えられたら?
恐らく、日常生活で
「自分と親の血の繋がり」
なんてことは普段意識しないですよね
私も多くの方と同様です。当然の事だと思って生きてきました。
「血の繋がりが無い家族もある」
そんなこと自分が里親を始めてみるまで考えた事も無かったです。
現在、里親となり、血の繋がりはない子どもを育てるようになりました。
まだ子どもは言葉がわかる年齢ではないため、どのようにして真実告知をするか、今から考えています。
今回は、そんな私の「真実告知」について、自分なりに感じている思いを記事にしたいと思います。
「血の繋がり」がないことを伝える事への不安
子どもはとても可愛く、愛おしいです。
日々、出来る事が増えて笑顔が増えていきます。一緒に居ればいるほど、子どものこれからの成長がとても楽しみになっていきます。
だけど一方で、これから子どもが成長していき、言葉を理解する事ができるようになってくると、

と不安になることが増えていきました。
真実告知という「血の繋がりがない」事実をどう子どもに伝えるか?ということに不安になってきているのです。
真実告知はなぜ必要なのか?
真実告知をそもそもする必要があるの?と疑問がある人はいるかもしれません。
真実告知する必要はないという意見をおっしゃる方も中にはいます。
ですが、児童養護の世界では「真実告知はすべき」という意見が大半です。
なるべくなら、真実告知は、幼いうち(就学前)に行なう方が良いとされています。
「血の繋がらない」事実は非常に重いし、伝えづらいですよね。
子どもからしてみれば、今まで本当の親だと思っていた人が、血の繋がりがないということを知る事になります。
子どもの心に大きな衝撃を与えてしまう事は容易に想像出来ます。
でも、それでも「真実告知」はしなければならない。
それは誰にだって、「自分はどこから来たのか?」というを自分のルーツを知る権利があるからです。
この権利は、親だからといって子どもから奪っていいことではありません。
真実告知をされずに大人になった方の中には、大きなケガで病院にかかった時の血液検査で、親と血の繋がりが無いという事が分かり、それまでの親子関係が崩れてしまったという話もあります。
また、ある方はずっと真実告知をされず育ったため、自分のルーツが分からず、大人になった現在までずっと悩んでいるという話も聞きます。
こういったお話は、実際の里親や養子縁組の研修や勉強会に出席すれば必ず講師に言われる事です。
・・・・しかし、真実告知の重要性を頭では理解していても、心の中では

真実告知の重要性は理解出来ても、実際伝えられる自信が無い。将来、どうやって子どもに伝えよう。もし子どもが理解してくれなかったら?今までの関係が壊れてしまったら?
そんな風なマイナスな事ばかり考えていました。
実際に自分がこれから伝える側になると考えた時にとても不安な気持ちになったのです。
真実告知で本当に伝えるべきこと
真実告知は、「辛いこと」ばかりであると僕は今まで考えてました。
それまで「真実告知とは血の繋がりがないことを伝えること」だとばかり考えていたからです。
でも、それは真実告知のある一部分だけしか捉えていない事に最近気付かされたのです。
ある記事で、特別養子縁組の家庭で育った高校生へのインタビューを拝見しました。
赤ちゃんのうちから里親家庭で育てられ、養子縁組を組んだ方の体験談です。
血の繋がりが無い事に、小学生時代は苦しみ、イジメを受けた事もあるそう。
ただ、理解ある先生や同じ境遇の大人と出会う事によって、自分の中で「真実」を受け入れることが出来たのではないかと感じます。
これまで自分は「真実告知」をすること自体がゴールだと考えていたんです。
でも、そうではないとこのインタビューをみて感じました。
真実告知とは、私達も子どもと一緒に
- 「血がつながらない」という事実を家族として受け入れ、成長していくこと。
- 例え、僕たちは血がつながらなくても、一番大切に思っていること。
- 迷った時やツラいとき、帰る場所があること
全部をひっくるめて、時間をかけて子どもに伝えて、家族になっていく事が本当の真実告知であると思います。
そう考えると、「真実告知」は、伝えること自体は、恐れる事ではないと思えるようになりました。
むしろ、私達が家族になっていく上で絶対に必要なステップだと捉えられるようになりました。
まだ、子どもは言葉は理解出来ない年齢なので、実際にどう伝えるかはこれから妻としっかり話し合う必要があります。
ですが、子どもに真実告知をする本当の目的は今後も忘れず、「家族」をつくっていきたいです。